今月の現場から(保健師コラムリレー)

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~東海地区「がん就労を考える会」について~

キオクシア株式会社 四日市工場 保健師 高崎 正子

がん経験者の就労支援は、病院或いは企業内のみで完結できる内容ではなく、医療機関・企業・行政の協力・連携が不可欠となります。
 がん経験者への就労支援を実際に運用する実務レベルでの課題やニーズについて、臨床と産業保健ならびに関連機関のそれぞれの視点から議論し、これらを明らかにしていくことが必要との考えから、2015年東海地区の有志メンバーによる「がん就労を考える会」(https://ganshuronagoya.wixsite.com/ganshuro)が発足しました。

 「がん就労を考える会」は、がん患者・経験者の就労問題に関する情報の共有、知識の交換、研究発表等を行うことにより、がん患者・経験者の就労支援に関する臨床並びに産業保健、その他関連領域との連携を図り、地域に根ざした就労支援ネットワークを形成し、その発展に寄与することを目的としています。
 そして代表世話人である岩田広治先生(愛知県がんセンター副院長)を中心に、様々な職種で構成された世話人が、すべて手弁当で試行錯誤しながら運営しています。私もその一人として参加しています。

 2015年10月24日に愛知県にある名古屋第二赤十字病院を会場として、第1回研修テーマ『それぞれの立場からがん就労を考える』を催して以降、第8回以降は開催方式をオンラインに変え、2022年10月2日には第10回『がん就労に関わる情報とその活用』をテーマに、当事者とその家族も参加可能として開催しました。
 コロナ禍でオンライン開催となったことで、東海地区だけでなく全国各地からの参加者も増え、200名以上の方々に参加いただいた盛況な会となりました。

 これまで議論となったテーマは、就労支援における院内外専門家の役割、医療従事者と企業関係者での就労可とする判断根拠や両立支援についての意見交換と情報共有、診断書記載内容と個人情報の取り扱い、療養・就労両立支援指導料の改定など最新情報の提供、がん啓発活動、成功事例の共有化など多岐にわたっています。

 本会の目的である①がん経験者への就労支援に対する問題やニーズを明らかにする。②東海地区におけるがん経験者に対する院内外の就労支援体制構築に向けたネットワークづくりについては、10回の研修会を経て一歩進んだように感じています。
 一方で、会を重ねていく中での課題は尽きず、制度は整いつつも十分活用されているとは言い難い現状に対して、それぞれの立場で何ができるかの議論は継続中です。

 がん治療と就労の両立支援は地域社会の問題であり、幅広い職種で意見交換しながら、最良な両立支援体制を地域で作っていきたいという思いにあふれたメンバーの姿勢と参加者の声が本会研修テーマにつながっています。
 機会があればぜひご参加いただき、両立支援の輪を広げる方法をご一緒に考えてみませんか?

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