今月の現場から(保健師コラムリレー)

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~福島県内の病院にアンケートをしました~

福島産業保健総合支援センター 津村 紀子

福島産業保健総合支援センター(以下「センター」という。)では、治療と仕事の両立支援の周知・啓発活動やセミナーの開催、事業場に対する個別訪問支援、トライアングル型の個別調整支援等に取り組んでおります。
そこで、センターでは周知・啓発活動の一環として、昨年11月に福島県内の全ての病院132か所を対象として、「治療と仕事の両立支援に関する意識調査」を実施しました。
 1)そもそも、認知度は?
 まず、厚生労働省が発行している「事業場における治療と仕事の両立支援のためのガイドライン」及び「企業・医療機関連携マニュアル(事例編)」についてたずねたところ、知っている又は、見たことがあると回答した病院は、どちらも半数以下にとどまっていました。さらに、トライアングル型支援の認知度は3割程度という結果でした。患者との距離が最も近い病院に対する働きかけが、今後も必要であることが分かりました。

 2)さて、院内の環境は整備されているのか?
 なんと7割を超える病院から、両立支援は必要かつ、重要であるとの回答が得られました。ところが、相談窓口を設置している病院はわずか3割程度、両立支援コーディネーターを配置しているのは1割にも満たない状況が判明したのです。両立支援コーディネーターの配置を推進するためにも、より多くの医療従事者の方々に両立支援コーディネーター養成研修を受講していただけるよう、情報提供を継続していかなければなりません。

 3)そこで、院内で抱えている課題は何?
 両立支援を推進する上での課題について尋ねたところ、最も多かったのが「両立支援に必要な情報の収集〈63%〉」でした。次いで「会社側における両立支援への理解の向上〈47%〉」、「院内の医療従事者における両立支援への意識の向上〈44%〉」という結果でした。ガイドライン及びマニュアルの普及により、「勤務情報提供書」の利・活用が望まれるところです。また、会社側の理解を促すための事業場への個別訪問支援と併せて、医療従事者向けのセミナーや研修の必要性もうかがえました。

 今回のアンケートの結果から、県内の多くの病院では、両立支援の必要性や重要性は認識しているものの、相談窓口の設置や両立支援コーディネーターの配置など環境整備はまだまだ進んでいないという現状が見えてきました。治療と仕事の両立支援の普及・定着に向け、センターとしてその役割を果たすべく、今後もさらに支援に努めてまいります。

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